前回の記事に引き続き、夏の大分・熊本の旅行記になります。
豊後竹田駅前から市バスに乗り、やって来たのは日本でも指折りの炭酸泉を擁することで知られる大分県・長湯温泉。
一般に炭酸泉は泉温が低めで、そのシュワシュワの浴感も相まって暑い夏にぴったりの泉質として知られる。
自分は九州生まれであるにも関わらず最近までその名前も知らなかったのだが、長湯は調べれば調べるほど魅力的な温泉揃いで、この機会に行っておこうと思ったのである。
今日はこちらに宿も取ってあるので、時間を気にせず外湯巡りに洒落込むことができそうだ。
温泉街に沿って流れる美しい渓流に癒されつつ、ひとまず本日の宿へ向かう。
川沿いの道から一本入ると、広がっているのは田畑が広がる素朴な風景。
そんな牧歌的な景色の中に佇む一軒宿が、今回宿泊する山の湯 かずよさんである。
立派なエントランスを通って、フロントでチェックインを済ませる。
部屋は2階の温泉街側にある和室。
早朝からあちこち動き回ったせいか若干疲れていたので、外湯巡りをする前に少し部屋で昼寝をすることにした。
こういった自由が利く点は一人旅のメリットだと思う。
***
小一時間ほどの休息を取った後、身軽になった体で外湯めぐりの開始である。
昼下がりでもまだまだ日が高く、夏ならではの雰囲気を感じる。
長湯の外湯めぐり1件目は、界隈でも1番人気のラムネ温泉館へ。
一見すると温泉施設に見えないようなモダンな外観が目を引く。
受付があるのは三角屋根の建物の中。
男湯は混んでいそうだったので、貸切風呂を先に利用することにした。
料金は1時間2000円で、下の写真中央の縦縞模様の建物がそれである。
なおラムネ温泉館は、
マグネシウムーナトリウムー炭酸水素塩泉
含二酸化炭素ーマグネシウムーナトリウムーカルシウムー炭酸水素塩泉
の異なる2種類の源泉を保有している。
後者は炭酸泉としてラムネ温泉館の代名詞となっており、内湯の露天および貸切風呂の両方で楽しむことが可能だ。
入口の扉を開けて、脱衣所の先に広がるのは異なる泉質の湯をたたえる2つの浴槽。
外観だけでなく、内部の様子もなんだかスタイリッシュな感じだ。
さっそく炭酸泉(丸形の浴槽)の方から入ってみる。
まず32度という低い泉温のおかげで、暑い夏にはぴったりの気持ちよさ!
水風呂ほど冷たくもなく、火照った体を冷ますには丁度良い温度である。
浴槽も丁度良い深さで有難かった。
これが浅すぎたり深すぎたりすると、リラックスして入ることが難しくなる。
そしてなんといっても特筆すべきは、炭酸泉ならではのこの泡付きである。
貸切風呂は露天よりも泡付きがおとなしめということだったが、じっとしていると体中にびっしりと小さな気泡がまとわりついてくる。
そして溜まった泡が何かの拍子で弾けたとき、浴槽はまさに炭酸水のように立ち上ってきた気泡で満たされるのである。
こんな調子で泡付きの様子を眺めたり、温かい角型の浴槽との交互浴を繰り返したりしているうちに、あっという間に1時間の貸切タイムは過ぎていった。
そして貸切風呂を時間いっぱい堪能した後は、いよいよ名物の露天がある内湯へ。
こちらも家族風呂同様に美術館のようなお洒落な内装だ。
大浴場は貸切風呂と同じうぐいす色の温かい内湯と、炭酸泉の露天風呂という組み合わせになっている。
炭酸泉目当てで来る人が多いためか、露天はいつも混んでいるようだ。
この時も外には人が滞留していたので、とりあえず内湯へGO。
内湯は適温~ややあつめ位で、入るとはっきりとした金気臭を感じた。
泡付きは無いが、湯舟の淵の析出物が物語るように濃厚な成分のお湯である。
浴槽が広いのでゆっくりと浸かることができた。
そして人がはけてきたタイミングを見計らって、名物の露天へ。
露天は8-10人サイズの長方形の浴槽が1つというシンプルな造り。
お湯に入ってみると、1分もしない内に体中にはびっしりとした銀の気泡が!
その泡付きやシュワシュワ感と32度の泉温が相まって、これがラムネ温泉か、と納得させられる浴感だった。
特に湯口の近くは鮮度の高い炭酸が絶えずゴボゴボと湧出しており、たまらない爽快感を味わえるのでおすすめ。ただその位置は人気なので、独り占めせずに譲り合って利用しよう。
この日は暑かったのでいくらでも長湯はできたのだが、ぼちぼち人も増えてきたので、
湯口エリアの強炭酸を堪能した後は内湯で温まって上がることにした。
その後帰る前に、お土産が欲しかったので受付横の売店に立ち寄った。
こちらもブティックのような素敵な雰囲気で、この写真だけ見ると日帰り温泉施設には思えない(笑)
グッズ自体の種類も豊富で、なにより見せ方がお洒落なのでつい色々と欲しくなる。笑
結局自分はロゴ入りのタオルと、こちらの小銭入れを購入。
ちょうど温巡り用の小銭入れが欲しかったのである。
極上の炭酸泉のみならず素敵なお土産まで手に入って、1湯目から大満足の外湯巡りになった。
人気の施設だけあって常に混雑しているという面はあるものの、間違いなく訪れる価値がある場所である。
次回以降の記事でも、引き続き長湯の個性豊かな外湯たちを紹介していこうと思う。
それでは。