玄の散歩帖

温泉、レトロ、写真など好きなものごった煮ブログ

盛夏の阿蘇・絶景の大観峰へ ー2022年7月 大分・熊本旅行 その① ー

 

連日の35度近い暑さに悩まされる中、どこか涼しい場所に行きたいと思いながら日本地図を眺める日々が続いていた7月のこと。

 

行き先の候補はいくつかあったが、たまたまジェットスターのセールで安い航空券も取れたりして、今回の熊本・大分周遊旅行の計画は進んでいった。

 

自分は九州で生まれ育ったのでこの辺のエリアに行くのは初めてでは無いのだが、

気づけば最後に訪問した時から実に10年以上が経とうとしていて、そろそろ再訪したいと考えていた場所のひとつだった。

 

かつて訪れた思い出の地などを巡りつつ、九州の雄大な自然と温泉を堪能した大人の夏休みの記録である。

 

 

***

 

 

 

仕事終わりに空港を発って、熊本に到着した頃には夜の8時近くなっていた。

 

今回到着した阿蘇くまもと空港はちょうど熊本市街と阿蘇の中間あたりに位置しているので、比較的どの観光地にもアクセスはしやすい立地になっている。

 

ここから交通機関を利用して阿蘇方面へアクセスする場合、最寄駅の肥後大津まで移動してJRで阿蘇方面へ向かうのが一般的だが、今回は到着が遅いので肥後大津で一泊して翌朝から阿蘇方面に移動するプランとなった。

 

空港⇔肥後大津駅は無料のシャトルサービスが30分に1本ほどの頻度で出ているが、運悪く前の便が出た直後だったので、自分はタクシーで駅まで向かった。

 

肥後大津駅にはものの10分ほどで到着。

予約していた駅最寄りの旅籠はしもとでチェックインを済ませる。

ozu-hashimoto.com

 

旅館ではなく和風ビジネスホテルといった趣だが、大浴場などもあったのでよかった。

フロントの方も親切で、リーズナブルな価格ながらも滞在中は気持ちよく過ごすことができた。

 

部屋に荷物を置いてからは、さっそく町に出て夕食を取りに行く。

 

通り沿いには何件か居酒屋と思しきお店が並んでいたが、入り口の雰囲気が良さげだったのでこちらの居酒屋ぐるぐるさんに伺うことにした。

 

カウンターに通され、とりあえず生を一杯。

キンキンのグラスでの提供に、思わず笑顔がこぼれてしまう。

 

やはり木のカウンターはなんとなく落ち着く。

店の外から暖簾越しに入ってくる風も涼しくて心地が良い。

手作り感あふれるメニュー表。

魅力的な品が多く悩ましいが、おすすめなど聞きつつ良さげなものを適当に何品か注文した。

最初は地だこ、カンパチ、鯛の3点盛りから。

特別にハーフサイズで出して頂けたのだが、どれも新鮮で美味しかった。

久しく食べていなかった甘口の刺身醤油にちょっと懐かしさを感じたり。

アスパラの天ぷら。

自分はアスパラが大好きなのでどこに行ってもつい頼んでしまうのだが、サクサクで塩もよく効いてたのでこれも好みだった。

そしてこちらが阿蘇のブランド牛であるあか牛を贅沢に使った鉄板肉野菜炒め。

熱々の鉄板で味わう、旨味溢れる野菜とあか牛の組み合わせは感動的な美味しさ!

 

他のメニューよりやや値は張るものの、個人的にはイチ押しのメニューとなった。

(写真を見返すだけでもまた食べたくなる...)

 

なお料金は上記とビールのお代わりを入れて、4000円いかない位だった。

初日からローカルなお店で地のものを安く頂けたので大満足である。

 

ほろ酔い気味でいい気分になっていたが、翌日は早朝から阿蘇へ移動するので気持ち早めに切り上げてホテルへ戻ることにした。

やはり徒歩圏内に飲み屋があると帰りが便利なので助かる(笑)

 

ちなみにこちらが部屋の様子である。

あまり広さはないが、冷蔵庫やケトルなど必要十分なモノがコンパクトにまとまっており、不便さを感じることは無かった。

 

その後はコンビニで買ったつまみと酒で飲みなおしつつ、この日は早めに床についた。

 

阿蘇随一の景勝地大観峰

翌朝、早くにホテルをチェックアウトして肥後大津駅へ。

5時台の始発に乗って、いよいよ阿蘇方面へ向かう電車の旅の始まりである。

 

ホームにはすでに阿蘇方面(豊後竹田行き)の車両が入線している。

くすんだ色味がなんとも味のある車両だった。

車両内にはローカル線でよく見かける二人掛けシートの座席が並ぶ。

長時間座っても快適だし、なんとなく旅情を感じられるので好き。

 

 

電車は立野駅でのスイッチバックを経て、約1時間ほどで阿蘇駅に到着。

駅を出ると、外には雲一つない晴れ渡った青空が広がっていた。

 

電車を降りた後は、駅前ロータリー発着の路線バスへの乗り換えである。

この旅の第一の目的地でもある、阿蘇を代表する景勝地大観峰を目指すためだ。

 

この時間帯では流石に自分の他に観光客は乗っていなかったが。

窓の外には長閑な田園風景が広がる。

阿蘇雄大な景色を車窓から楽しみつつ、30分ほどで大観峰入口バス停に到着。

レンタカーを使わずバスで大観峰を目指す場合は、このバス停で降りてから、40分ほどの徒歩での道のりとなる。

ここから大観峰への道は、スマホの地図を見ながら行ったが特に迷う箇所は無かったように思う。ただ交通量は結構多いので、その点は注意しておきたい。

 

また道中には自販機も無かったので、夏に行く場合は水分も多めに準備していったほうが良いだろう。

坂の上からバス停近辺を振り返ったところ。

素晴らしい景色に目を奪われつつも、車やバイクに注意しながら進んでいく。

舗装道路を進んでいくので、坂道は続くがそこまでハードな道のりではない。

ただ景色が良すぎて何度も立ち止まってしまうので、所要時間は多めに見積もったほうがいいかもしれない(笑)

30分ほど歩いてきたところで、ようやく大観峰の入口にある茶店の建物が見えてきた。

左手奥側に見えるのは、特徴的な山容を持つ根子岳

阿蘇の神話によると、根子岳阿蘇五岳の末っ子なのだそう。

兄弟の中で誰が一番高くなれるか競った際に不正を働いて神の怒りを買ってしまい、

頭を何度も叩かれたことで現在のようなデコボコした山頂が形作られたのだとか。

たしかに周囲に座する兄弟たちと比べてみても、あながち嘘だとは思えないようなギザギザ頭のシルエットは目を引く。

茶店入口の撮影スポット。ツーリング系の人達は皆ここでバイクと並んで写真を撮っていた。

 

ゲートを抜けたところには、大観峰茶店とその広々とした駐車場が広がっている。

中には売店や簡易的な食堂も入っており、ちょっとした道の駅ような雰囲気だった。

しかし、いわゆる”大観峰展望台”の絶景を堪能するためには、ここからさらにもう少しだけ進まなければならない。売店横から伸びている遊歩道がその入り口だ。

標示に従って草原に囲まれたなだらかな坂道を10分ほど進んでいくと...

 

カルデラ阿蘇の街を見渡せる、360度の大パノラマの景色である!

ここから見る阿蘇の景色は本当に素晴らしいので、天気が良い日にはぜひ訪れてみてほしい。

展望台の先端から望む、整然としたパッチワークの田園風景。

こうやって見ると、広大なカルデラの内部に広がっている阿蘇の街の様子がよく分かる。

 

気持ちが良いので展望台周りの遊歩道をちょっと散歩してみる。

子供のころからこの場所へは何度か来たことがあるが、ここまで天気のいい日に来たのは初めてかもしれない。

正直、これほど風光明媚な場所であるという印象はこれまで持っていなかった。

再訪してみて良かったと感じた一瞬である。

小国方面を石碑越しに望む。

 

茶店へ続く帰り道での一枚。遠くにうっすらと霧のような雲が伸びている。

そして視界いっぱいに、地平の先まで延々と広がるかのような緑の丘陵。

日本とは思えないようなスケールの大きな景色に感動した。

茶店に戻ってきた頃にはお店の方もオープンしていたので、景色を眺めつつ外で名物のソフトクリームを頂いて帰ることにした。

阿蘇小国産のジャージー牛乳を使用しているとの事で、とっても濃厚な味がして美味しい。

 

一息ついてからは、帰りのバスの時間もあるので来た道をいそいそと戻り始める。

帰りは下り道なので、行きよりはちょっとだけ楽。

駐車場から、最後にもう一度阿蘇五岳を望んで。

車に注意しながら、バス停を目指してカーブを下っていく。

風が涼しくて気持ちいい。

なお阿蘇方面へのバスに乗る際は、来る時に下車した『大観峰入口』バス停の反対車線のスペースにてバスを待てばよい(バス停の標柱は無いが、そににいればバスが止まってくれる)。

戻ってきたところで、阿蘇駅の写真を1枚。

改めて見ると、なかなかモダンなデザインで格好良いなあ。

 

その後は駅隣の道の駅で時間をつぶしつつ、JRで宮地駅まで移動した。

今日はここから電車を乗り換えて大分の長湯温泉方面に向かうのだが、その乗り換え時間でランチを取っておくためだ。

向かったのは駅から歩いてすぐ、国道沿いに面したこちらのよかよか亭さん。

www.yokayoka-miyazi.com

 

ファミレスのような外観をしているが実は精肉店直営の焼肉店で、あか牛を使った料理が廉価で食べられるとの評判だったので行ってみた。

 

実際美味しそうなメニューが色々とあり迷ったが、今回はあか牛のサイコロステーキのセットを注文。

料理はネコチャンロボット(かわいい)がテーブルまで配膳してくれる。

あか牛サイコロステーキ(150g)セット ¥2,300 (ライス、スープ、サラダ付き)

鉄板の上を跳ねる肉汁に期待が高まる。

いい感じに焼けてきたところで、さっそくあか牛をご賞味させていただく。

シンプルに塩で味わってみたが、しっかりと肉の旨味が感じられて美味しかった。

 

ただ自分が焼きすぎてしまったのか?若干固めに感じたのでもう少しレア気味で食べても良かったかも。

 

また自分は小食なのでこの量でも丁度良かったが、一般的な成人男性だとちょっと物足りないかもしれない。200gくらいが丁度いいか。

 

まあこの価格帯であか牛を食べられるというだけでも十分貴重ではあるのだが。

 

 

腹ごしらえが済んだところで、ホームに戻って大分方面行の電車へと乗り込む。

 

電車は40分程で長湯温泉への起点となる駅、豊後竹田へと到着。

現在でも多くの歴史的建造物を有する、かつての城下町である。

 

次発の長湯温泉行きのバスまではやや時間があるので、駅周辺の散策へ。

青空に白い壁の色が良く映える。

駅前からまっすぐ延びる通りには、いかにも小京都といった趣の街並みが広がる。

脇道に伸びる石畳も風情がある。

 

歩き回って喉も渇いた頃、近くにあった御客屋敷 月鐘楼さんでちょっと一休み。

tabelog.com

 

こちらはその歴史を江戸時代にまで遡るという武家屋敷カフェで、築200年を超えるその建築は竹田市有形文化財にも指定されている。

 

威風堂々とした、立派な門構えの入口。

のれんをくぐって中に入ると、襖で仕切られた大広間にセンスの良いインテリアが並ぶ素敵空間が広がっていた。

ガラス戸越しに見える庭が綺麗だったので、こちらのソファー席に腰を下ろす。

全体的に照明が落としてあって、大人向けの落ち着いた雰囲気である。

そして夏場の喫茶といえばやはりアイスコーヒーは外せない。

ちょっと甘いものも欲しかったのでエクレアも併せて注文。

 

枯山水の庭を眺めつつ、ソファーでくつろぎながら涼を取る時間。

 

いざ旅から帰ってみると不思議なもので、観光地よりもこうした何気ないひとときの様子をより鮮明に覚えていたりするものである。

 

ひとしきり涼んだ後は、竹田駅に戻りいよいよバスで長湯温泉へ向かう。

 

次回以降の記事で、その界隈での湯めぐりの様子を書いていこうと思う。