玄の散歩帖

温泉、レトロ、写真など好きなものごった煮ブログ

まるで鍾乳石のようなコテコテ析出物が魅力的な湯宿・山の湯かずよ            ー2022年7月 大分・熊本旅行 その⑤ー

 

前回に続き、夏の大分・熊本旅行の記事になります。

ranporetro.hatenablog.com

 

昨夜は早々に寝てしまって宿のお風呂に入れなかったので、翌日は早起きして内湯へ向かった。

 

脱衣所内の看板には、お湯の特徴やその効能などが書いてあった。

泉質は長湯エリアでよく見かけるナトリウム・マグネシウムー炭酸水素塩泉

しかし貼り紙をよく読んでみると鍾乳石のように固まった湯の華に注意、といった趣旨の文言なんかも書かれていて、濃厚な成分のお湯であろうことが推察される。

 

ワクワクしながら浴室へ。

まず目に留まったのが、この奥に立ち並ぶ不思議な黒い石柱である。

これらはなんと9万年前の阿蘇山大噴火の際に生成された柱状節理(マグマが冷え固まってできた物質)をそのまま使用しているのだとか。

その高さは実に2mにも及び、まるで阿蘇の力強い自然を象徴するかのような堂々とした佇まいを見せている。

まずは手前側の小さめの浴槽から入ってみる。

湯の表面にはシャーベット状の結晶がびっしりと浮かんでいた。

浴感としては他の長湯エリアのお湯に比べ大きな違いは感じられなかったものの、明らかに湯の華の量が突出して多く、かつ濃厚なお湯であるように思われた。

ただこの時は手前側の浴槽はかなり熱めになっていたので、すぐに奥側の大きいほうの浴槽へと移動してしまったが(こちらは42度前後で適温だった)。

奥の浴槽は、写真の通りこれまたすごい状態だった(笑)

結晶がお湯の表面一杯に広がっていて、文字通り膜となって全体を覆いつくしている。

これは人の出入りがあると簡単に壊れてしまうので、バリバリと膜を突き進んでお湯を頂けるのは一番風呂ならではの特権である。早起きしてよかった~。

そして柱状節理の奥でひときわ存在感を放つのが、湯口の下部に堂々と鎮座するこの巨大な析出物である。

長年かけて堆積したと思われるそれは、どこかの鍾乳洞から運んできたといわれても納得してしまうレベルにまで成長している。

 

実はこの析出物には所々に溝が彫られており、上部の湯口から浴槽に至るまでのお湯の通り道にもなっているのである。

 

こちらのお湯は源泉温度が高いので通常であれば加水が必要となるのだが、溝の上を経由している間に湯温が下げられるため、結果的に適温のお湯が浴槽に到達するという仕組みである。

なるべく人の手を加えず、生まれたままに近い状態で源泉を味わうための宿側の工夫というわけだ。

 

ただ放置するとどんどんと肥大化してしまうので、定期的に削ってメンテナンスをするのが結構大変なのだと宿の方が仰っていた(汗)

こうして素晴らしい温泉に入れるのも、このような宿側の様々な努力の結果であるという事を今後も忘れないようにしたい。

また驚くことに温泉成分の堆積は湯口近辺だけに留まらず、浴槽の外にさえ及んでいる。

周辺の床には固まった成分が棚田のように広がっており、その上を歩くと砂浜を歩いている時のようなシャリシャリとした感触が伝わってくるほど。

奥には小さめサイズだが露天が備え付けられているのも嬉しいところ。

あまり眺望は望めないものの、内湯よりもやや温めでこちらも大変気持ちが良かった。

早朝で虫がいなかったのも◎。

 

ちなみにかずよさんは平日(除く火・金曜)のみ日帰り入浴の営業も行っているが、受付時間が11-14時と結構短めに設定されているのが難しい所かもしれない。できるなら宿泊をして、時間を気にせずゆっくりとお湯を楽しむ方がオススメである。

 

 

***

 

 

早朝の内湯を独泉でたっぷりと堪能したあとは、徒歩にてこの旅最後の湯巡りへ。

この日は盛夏の真っ只中だったが気温もまだそこまで上がっておらず、風が心地よい朝だったことを憶えている。

 

次回の記事で、その際の様子をあらためて書いていく。

 

それでは。