前回に続き熊本・大分旅行の記事になります。
囲炉裏で味わう南阿蘇名物・高森田楽
豊後竹田を発ってからは、JRの豊肥本線に乗って阿蘇方面へ戻った。
ここから次の目的地である南阿蘇へ向かうにあたって、公共交通機関を使うのであれば立野までJRで戻り、そこからバスや南阿蘇鉄道で向かうのが一般的である。しかし...
このルートでは阿蘇山を迂回するように乗り継ぎをしていくので、費用は抑えられるが結構な時間のロスが生じてしまうのである。今日は夕方には熊本空港に戻っておく必要があるので、今回の移動手段としては少々厳しいものがある。それに、いくら安くなっても各地の滞在時間が少なくなってしまっては元も子もない。
そこで思いついたのが次のルート。
宮地駅で一旦列車を降り、そこからタクシーで阿蘇山の東側を通って南阿蘇方面へ向かう。
このルートであれば、スムーズにいけば昼過ぎには高森に到着することが可能となる。
なお宮地駅を降車地に選んだのは、界隈の駅で一番栄えていてタクシーが捕まえやすそうだと思ったからである。
クルマで旅をする観光客にとってはなんということもないルートだろうが、自分のようにバス・電車移動を中心に旅をしていく場合、それらの路線図に沿って経路を組み立てるのでこういったルートは意外と見えにくかったりするのである。
結局宮地駅⇒高森までは5000円位の費用が掛かったのだが、圧倒的時短になったのは勿論のこと、道中では阿蘇の外周に広がる一面の緑の景色なんかも楽しむことができた。
さて、ひとときの車窓観光を楽しんだ後は、まずは腹ごしらえが必要なので、予約していたこちらのお店へ。
阿蘇の食材を囲炉裏で頂ける人気店、高森田楽保存会である。
開け放たれた障子の入口に、外に面して広がる涼やかな縁側。
まるで夏休みに田舎のおばあちゃんの家に寄った時のような、懐かしさを感じさせる佇まいである。
広々とした板張りには、大小さまざまなサイズの囲炉裏が配置されている。
案内された席につき、とりあえず田楽のコースと生ビールを注文した。
ここには子どものころ何度か家族と来た記憶があるが、店内の様子はほとんど変わっていないような。
周囲を眺めてあれこれと昔のことを思い出している内に、店員さんが食材を手際よくセッティングをしてくれる。
思えば当時はまだ小さかったから、自分で食材を焼いて食べるというのは今回が初めてである。炭をおこしてもらっている傍ら、食材ごとの焼け具合の目安などを改めて教えてもらった。
焼け具合を見ながら、片手で出来たての生揚げをつまんでいく。
添えてある生姜と共に醤油をかけて頂いたのだが、これがまた絶品だった。
それにしても、覚悟はしていたがやっぱり夏の囲炉裏は暑い。笑
店内にクーラーは無く扇風機が回っているのみなので、囲炉裏の前に座っているだけでも汗が吹き出してくるようだ。おかげで無限にビールがすすんでしまう(笑)
なお焼ける順番はおおむね決まっていて、基本的に芋→豆腐→野菜→ヤマメといった具合だ。
焼け上がりが近づいてくると、具材から香ばしい味噌の香りが漂ってきて食欲をそそられる。なんとも贅沢な待ち時間である。
特に美味しかったのがこのヤマメ。串に刺したままガブっといったのだが、ホクホクとした柔らかい身の食感がたまらなかった。
暑かったのでビールなど結構飲んでしまい、都合5000円をゆうに超える高級ランチとなってしまったが、囲炉裏でじっくりと地のものを堪能できたので満足である。
でも次に来るならやっぱり真夏以外が良いかも(笑)
阿蘇随一の名水地・白川水源
お腹も満たされたところで、店員さんに頼んでお店までタクシーを呼んでもらった。
行き先は、日本の名水100選にも選ばれた阿蘇を代表する湧水地・白川水源。
こちらは毎分60tもの湧出量を誇る南阿蘇随一の水源で、旅行客や地域住民など多くの人々が良質な水を求めてここにやって来る。
鳥居を越え石畳の遊歩道を進んでいくと、徐々に水の音が大きくなってくる。
それらと周囲に広がる緑の風景が相まって、一帯はどことなく涼しげな雰囲気が漂っている。
足元に流れるのは、キラキラとしたまばゆい清流。
最近あまり聞かなくなった言葉だが、マイナスイオンでいっぱいな感じだ。
奥にある水源までの道沿いにはちょっとしたカフェやお土産屋なども並んでいる。
暫く進むと左手に入場料を払う場所があるのだが、その手前を降りたところが絶好の川遊びスポット。
自分も小さかった頃はここに来るたび、写真の子供たちと同じように水遊びに興じていた記憶がある。
今もその水が滾々とこの地で湧き続けている様子を見て、何だか安心したような、うれしい気持ちになった。
ここのお店も昔からあったような記憶がある。
名物の水まんじゅうを食べようかと思ったが、四個入りからの販売だったのでなんとなくやめてしまった。折角だから食べればよかったなあ。
有料エリア内に入り、少し進んで右手にあるのがこちらの水汲み場。
ここで人々がペットボトル片手に柄杓で水を汲む様子は、白川水源を象徴する風景である。
しかし個人的に一番強く印象に残っていたのが、水汲み場からさらに奥に行ったところにあるこちらの水源エリアだ。
ここの透明度は水源の中でも別格で、あまりに水が透き通っているのでその深さも窺い知れないほど。
そして雲が切れて陽の光が差すとき、水面はさらに一層の輝きを増す。
湖底から生まれたばかりの清浄な水がコポコポと水面に湧き出でる様子は、まさに"泉"という言葉が相応しい。
さて散策も一段落したので、近くのカフェで一休みである。
川沿いから少し上ったところにある、炭火焙煎珈琲 水の館。
こちらではなんと白川水源の水で淹れた焙煎珈琲を飲むことができる。
こちらが名物の炭火焙煎アイスコーヒー。
さすが水源の水を使っているだけあって、とにかく雑味が無くてすっきりとした味わい。
お店の居心地も良く、コーヒーなどお代わりしつつ暫くまったりとしてしまった。
***
徐々に日も傾いてきて、名残惜しいがそろそろ阿蘇を出る時間が近づいてきた。
白川水源から熊本空港までは、高速バスの快速たかもり号で乗換なしで行くことができる。
最寄りの停留所名は「白川水源入口」で、バス停前にある大きな駐車場が目印だ。
ただ水源の鳥居を出たところから少し歩くので、時間には余裕をもって向かいたい。
白川水源入口から熊本空港までは約1時間ほどで到着。
フライトまで少し時間があったので、フードコート内にあった和食 りんどうへ。
空港のフードコートといえば正直値段の割に微妙なモノが多いのが常だが、こちらの一品メニューはどれも本格的な味で美味しかった。
特に大手羽はボリュームもあり、ジューシーに揚がっていたのでオススメだ。
幸いこの日は空港も空いていて、搭乗時間が近くなるまで(フードコートだけど)ゆっくりできたのも良かった。
おかげで旅の最後に至るまで、ほろ酔いの楽しい気分で時を過ごすことができたから。
***
さて、これにて長きにわたって書いてきた大分・熊本旅行記も完結である。
夏真っ盛りでとにかく暑い時期だったが、今回も楽しい旅をすることができた。
また子供の頃に訪れた思い出の地もいくつか巡ることができ、その点も満足である。
ただ書き終えてみて思うのだが、相変わらず旅行記を書くスピードが遅すぎる(笑)
仕事やなんやかんやで遅れてしまった事情はあるにせよ、あまり間を開けると感想もぼんやりとしたものになってしまうので、なる早で進めていきたいものである。
実際昨年の旅で書き切れていない旅行記もまだまだあるので、無理のないペースでそちらも順次書いていくつもりである。
それでは。