春が明けて緑も深まる梅雨の頃、親を連れて伊勢・南紀の旅をした。
名古屋から電車とバスを組み合わせて和歌山方面へと南下していったのだが、熊野三山や勝浦での観光を盛り込んでいった結果、4泊5日というそこそこな長旅に。
オフシーズンの紀伊半島は全体的に静かで、有名な寺社でも比較的ゆっくりと参詣できたのがとても良かった。梅雨特有のしっとりとした空気感も相まって、参道を歩いている時にはその山深い霊場の雰囲気がひしひしと感じられたものだ。
さらに和歌山では想像以上に素晴らしい温泉があちこちに湧いており、今回の旅は温泉巡り的な意味でも大充実の内容となったので、そのあたりの模様も順次紹介をしていきたい。
本記事ではまず初日の伊勢神宮、外宮と内宮へのお伊勢参りの様子から書いていこうと思う。
観光特急・しまかぜに乗って伊勢市駅へ
実家から来た親と名古屋で合流し、近鉄線のホームへと移動。
名古屋から伊勢神宮の最寄りである伊勢市駅までは鈍行も出ているが、今回は時短もかねて、観光列車・しまかぜに乗っていくことにした。
座席は基本的に3列配置となっているので、一人客でも気軽に利用しやすい。
今回はせっかくなので、先頭車両最前列にある二人掛けシートを予約した。
先頭車は通常よりも床が70cm程高い展望車両となっているので、感覚的にはほとんど二階席のような感じである。特に最前列では運転席と線路を眼下に見下ろす形になるので、まるで電車でGOのような眺めを楽しむことができる。
また座席のシートには本革が使用されており、その座り心地は抜群だ。
リクライニング角度も細かく調整できるようになっていて、座りっぱなしでもまったく疲れることがなかった。
中間車両はカフェ車両となっており食事なども可能だが、今回は自席でゆったりと過ごしたかったので名古屋で買った駅弁で。旅行先で昼から飲む酒はやはり格別である。
車両の連結部はこんな感じ。写真右側に見えるロッカーは無料で使用が可能。
乗車後すぐに埋まっていったので、もし使うなら乗ってすぐ抑えたほうが良さそう。
窓から田園風景を眺めつつゆっくりと。観光列車らしく窓が大きく取ってあるのも嬉しい所。
これといった遅延もなく、電車は正午前には伊勢駅に到着。
初のしまかぜ利用での移動だったが、そこまで料金が高い訳でもなく、何より乗り心地が最高なので非常にオススメである。
難点としてその人気ゆえ、すぐに席が埋まって予約がし辛いというのはあるかもしれないが。実際今回のチケット購入時も、先頭車両やBOX席などの人気座席は予約開始すぐからどんどん埋まっていった。
駅前は平日のためか、意外と閑散としていて観光客もまばらである。
今日はまずここからバスに乗って伊勢神宮の外宮まで。お伊勢参りのスタートである。
伊勢神宮・外宮
バス停で降りると、横断歩道の向かいには森のような外宮の境内が広がっている。
こちらには小学生か中学生の頃に一度来ているのだが、この景色はあまり覚えていなかった。
火除橋を渡って、いざ神域へ。
なお外宮の境内では原則左側通行が推奨されている。
手水舎の左手に見えた勾玉池と奉納舞台。
季節柄、水面では菖蒲が見事に咲き誇っていた。
外宮の参道の様子は何故か撮り忘れてしまったので、以前参拝した時の写真を貼っておく。
十年以上前のものだが、この辺りの景色はそこまで大きく変わっていないような。
参道に立ち並ぶ巨木は、威厳すら感じる堂々した佇まいを見せている。
神域らしい凛とした雰囲気に、思わず背筋が伸びる。
最奥部にある茅葺の本宮があるが、板垣に囲まれたその内部には立ち入ることができない。入口の手前にできた人だかりに交じってお参りした後は、もとの道を辿って入口の駐車場まで戻った。
おかげ横丁・おはらい町
外宮からはタクシーに乗って内宮参拝に向かう。
が、外宮を歩いて親が疲れている様子だったので、休憩も兼ねてその手前に位置するおかげ横丁を先に見て回ることにした。
おかげ横丁は門前町であるおはらい町の中ほどにある横丁で、一帯には江戸期の建築を復元した建物や土産屋が立ち並び、それ自体が一つの観光名所となっている。
忍者の里のようなテーマパーク感があり、横道をぶらぶら歩くだけでも楽しい。
そろそろ一息つきたいと思い調べてみると、すぐ近くに良さげな雰囲気のカフェを見つけたので立寄ってみることに。
こちらの五十鈴川カフェは、こだわりの焙煎コーヒーが自慢の古民家カフェ。
川べりに面しているので、店内からは五十鈴川の美しい流れを望むことができる。
通路の一部はなんと橋になっており、屋内に居ながら外の空気も感じることができる。
曇っているのが残念だが、これはこれでしっとりとした雰囲気で悪くないかも。
小上がりの横にあるテーブル席が素敵だったのでそちらへ。
ネルドリップで抽出された深煎りのコーヒーは、雑味が無くさっぱりとした飲みやすい味。
個人的にかなり好みだったので、レジにあったドリップバッグのセットも購入してしまった。
一息ついた後は、引き続きおはらい町のお土産屋通りを練り歩いた。
午後になって人出も少し増えたのか、さっきよりも賑わいを感じる。
おはらい町のメインストリート。車道なので車には注意する必要がある。
周囲の景観に溶け込んだような、渋い外観の美容室も。
軒の上にある流木のような飾り付けがいい味を出していた。
お土産屋が続くのかと思えば、突如棋院があったり。
川に降りる道。
この辺りから天気もやや持ち直した感じで、薄曇りながらも日が差してきた。
小腹が空いたので、路面店で松坂牛の牛串を買ってみた。
大きさは控え目で割高だが、肉汁がたっぷりでとっても美味しい!
お土産も買ってひととおり門前町も堪能できたところで、そのまま徒歩で内宮方面へ。
伊勢神宮・内宮
入口のロッカーに荷物を預けて、いよいよ内宮の参拝である。
こちらの境内は外宮と異なり原則右側通行となっている。
宇治橋を渡って少し進むんだところが、五十鈴川の流れをそのまま利用した御手洗場。
内宮でも特に印象的だったのが、この五十鈴川の清冽な流れである。
底まで透き通った透明な水はひんやりとしてよく手になじみ、心まで洗われる気持ちになった。
砂利が敷き詰められた参道を進む。
こちらが内宮の中心であり、天照大御神を祀る正宮。内部には三種の神器の一つ、八咫鏡が御神体として安置されている。
外宮同様に中へ立ち入ることはできないが、石段の下からに限り写真撮影は許されている。
流石にお伊勢参りのハイライトともいうべき場所だけあって、正装をした多くの人が思い思いに写真を撮っていた。
参拝を終え、神楽殿の社務所でお守りを購入。親は絵馬で願掛けもしていた。
帰り道にあった名もない美しい池。
案内を見ても特に名所として紹介はされていないが、水鏡に写るみずみずしい新緑の姿につい目を奪われてしまった。
十数年振りの訪問となった伊勢神宮だが、境内に満ちた清浄な空気というか雰囲気は唯一無二で、月並みな言葉だがやはり足を運ぶ価値のある素晴らしい場所だと思った。
日本屈指のパワースポットであるというのも大いに納得できる。
無事に外宮、内宮のお伊勢参りが終了したので、この日はもう観光を切り上げてそのまま伊勢近辺の宿へと投宿した。次回の記事でその宿泊記を書いていくつもりである。
それでは。