玄の散歩帖

温泉、レトロ、写真など好きなものごった煮ブログ

住宅街の一角に残る濃厚な昭和レトロを訪ねて                        ~川崎・小向マーケット探訪記~

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ネット上で現役の古い商店街やレトロなスポットの情報を調べていると、意外にもそれらが地方だけでなく都市圏周辺にも数多く残されていることに驚く。

 

都会は人流が絶えづらく修繕などの機会も多いことから、結果として古い建物があまり傷まずに現在も「生きた」状態で残り続けているのかもしれない。

 

理由は定かでないものの、マニアにとってはなんとも喜ばしい話だ。

 

 

今回訪れた川崎の小向マーケットもそういったものの一つで、住宅街のほど近くにありながらも未だに濃厚な昭和の空気感を纏っている、まさに遺産級スポットと言っていい場所なのである。

 

 

***

 

 

小向マーケットには明確な最寄り駅というものが存在せず、周辺のいずれの駅からも離れているため、アクセスに関してはあまり良いと言えない。

 

一番簡単なのはJR川崎駅からバスを使って行く方法で、西口から東急バスに乗って10分程の停留所「小向」で下車して少し歩けば、住宅街の一角に佇むトタンのマーケットの入口が見えてくる。

 

今回はたまたま天気も良かったので、歩いていくにはやや遠い距離であるものの川崎駅から徒歩で向かってみる事にした。

 

 

駅からマーケットまでは団地や住宅街が多く続いており、その道すがらにはいかにも下町らしい趣の銭湯なども残っていて興味深い。

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写真を撮りながらゆっくり歩くこと30分ほど。

住宅街を抜けた所で、トタンと板に覆われたマーケットの一端が見えてきた!!

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想像以上の鄙び具合に胸の高鳴りを感じつつ、その入口へと歩みを進めていく。

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トタンの軒下に立ち、こじんまりとしたマーケットの全容を望む。

通路は昼間でも薄暗く、天井には蛍光灯の明かりがすでに灯してあった。

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アーケードに足を踏み入れると、そこには純度の高い昭和の薫りが充満している。

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営業している店舗は残念ながらほとんど残っていないが、当時の看板群がいまだ通路内に多く残されており、ちょっとしたタイムスリップ体験をしている気分になる。

 

昔はけっこう賑わっていたのかなぁ…

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極上の昭和フォント

 

ノスタルジーに浸りつつ歩いていると、あっという間に反対側へ(笑)

今度は逆向きに進んでみよう。

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こちら側は現役のお店がいくつか営業していることもあり、少し明るい雰囲気。

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マニア心をくすぐる看板。

写真では判読しづらいが、毎月の特売日が書いてある。

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こちらの大野屋さんは近辺で人気のお惣菜屋さんで、訪問時も店内は地元客で賑わっていた。

近くに公園もあったので、ここでおかずを買ってランチにするのも良さそう。

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大野屋の隣に広がるのがこちらのお茶処に豆腐店

訪問時で営業していたのは、これらの3店舗のみであった。

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ビニールテントがいい味を出している 

 

そして頭上には見飽きることのないレトロ看板群。反対側から見てもやっぱり素晴らしい。

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また他の方のブログを見ると以前は天井から大量の万国旗がぶら下がっており、

それらの色褪せた様相がマーケットのカオスさに拍車をかけて、かなり味わい深い光景だったようだ。

しかし2019年頃?に完全に撤去されてしまったらしく、残念ながら今回はその雄姿を目にすることは無かった。

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看板の密度が高い部分を切り取り。まるで無限に続いているかのような壮観な眺めである。

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そしてなんといっても小向マーケットの名物がこちら。

青果店の看板下に掛かっている、時間が止まったままの時計!

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いったいどれだけの長きにわたり5時50分を指し続けてきたのか。

ホンモノの昭和レトロというか、圧倒的な風格に感動!

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時計の横にある配電装置(?)も実に禍々しくてよろしい。

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個人的には、これを見るためだけに来てもいい位のスポットだと思っている。

本当にいいものを拝ませて頂きました m(__)m

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***

 

 

心ゆくまで写真も撮り、昭和成分も補給できたので、ぼちぼち川崎駅へ戻り始めることにする。

 

行きとは違う道から帰ってみたのだが、通学路のような雰囲気の一角で八百屋が営まれている光景が、いかにも下町的で素敵だった。

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ふと見上げると空が不思議なパステルカラーの夕焼けに染まっている。

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川崎駅方面。先程とは似ても似つかないビル群が林立している。

同じ町にこれだけ対照的な風景が共存しているのも面白い。

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今回の撤去された万国旗の件もそうだが、行きたい場所があり、かつそれが古い場所である場合は可能な限り早く行っておくべきだと考えている。

 

特に昭和レトロスポットは何の前触れもなく解体からの突然死ということがあるので、今後も良さげな場所を見つけたら早めに訪ねて記録を残すようにしたい。