玄の散歩帖

温泉、レトロ、写真など好きなものごった煮ブログ

秋の温泉・廃墟旅 in 東北 (2021) ― 紅葉のブナ林と秘湯 夏油温泉の秋

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化女沼でのツアーを終えて仙台駅に戻った頃には18時を回っていたので、

とりあえず予約していたホテルのチェックインへ向かう。

 

今回泊まったダイワロイネットホテル仙台一番町は仙台駅や繁華街エリアからも程近く24時間営業のコンビニも入っていて便利だった。

 

部屋も広く、まさに安定のダイワロイネットクオリティ。

 

チェックイン後、色々と濃い一日だった為か疲れも溜まっており、正直そのまま寝てしまいたいとも思ったのだが(笑)やはり仙台まで来て飲まずに帰るのはあまりに勿体無い。

 

その為少し休憩を取ってから、駅周辺の居酒屋めぐりへ繰り出すことにした。

 

 

飲み屋街はホテルからも近い国分町の近辺に集中していて、一帯はアーケード沿いの路地に小さめの飲食店が点在していてそこそこ賑やかな雰囲気。

 

こちらはディープな雰囲気が漂う文化横丁、通称ぶんよこ。

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日曜日の為か?閉まっている店も多かったが。

 

最初に向かったのは広瀬通り駅すぐのつるかめというお店。こちらは以前に仙台を訪れた友人が絶賛しており、今回の旅の中でぜひ訪れたいと考えていた。

 

 

…が、店の前に行ってみるとなんと臨時休業の張り紙(笑)

 

どうしたものかと思案したが、結構お腹も減っていたので名物である牛タンを食べに行くことに決めた。それまで仙台には何度か来ていたものの、なぜか店に入って食べたことが無かったので。

 

調べた中で一番惹かれたのが、広瀬通り沿いのビルの地下に入っている牛たんの一仙というお店。有名店という事もありダメ元で向かってみたのだが、今回は運よく待ち無しで入ることができた。

 

メニューは一品も多く目移りしたが、とりあえず看板商品である真とろたん焼きを単品でチョイス。

 

こちらが大正解だったようで、黒胡椒が効いた分厚くも軟らかいタンとビールの組み合わせにより、至福の時間を味わうことが出来た。

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店内は空いており居心地も良かったのだが、その後に予約している店もあったので追加もそこそこに30分程度で切り上げた。

 

次の店は少し離れていたのだが、アーケード街の散策傍ら本屋などに寄り道しながら向かった為そこまで気にならなかった。

夜のアーケードの空気には何故か昔から惹かれるところがあり、歩くだけでも楽しめるから好きだ。

 

 

そんなこんなで予約の時間まで暇を潰しつつ、いよいよ本命の居酒屋 ちょーちょに到着。こちらは仙台でも屈指の人気店で、平日でも予約がなかなか取れないほどなのだとか。

 

今回は1人だったのでなんとか席を用意してもらえたが、予約の際にもその賑わいが電話越しに伝わってきた。

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店構えからすでにいい感じ 

店内に入ると元気な掛け声とともに、カウンターの1席に案内される。

20時を過ぎても予約の客で満席というのは流石の盛況ぶりだ。

 

 

最初はとりあえず宮城の地酒と一品料理数点を注文したのだが、お通しからすでに美味しすぎて感動w

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日本酒もおすすめされた銘柄はどれも飲みやすくて良かった。

特に乾坤一が好みだったなあ。

 

 

続いてお造りの盛り合わせ。3点盛だったが少しサービスしてくれて嬉しかった。

鮮度も味もすばらしい。

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ちょーちょ名物である、囲炉裏で焼いたトロイワシの串焼き

イワシとは思えないほどたっぷりと脂がのっていて、まさに絶品だった。

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またこの時仙台へ単身赴任で来ている方々と隣同士になったのだが、登山や温泉など共通の趣味が多く話が弾んで楽しかった。

 

自分は人見知りなので旅先でも静かに過ごす場面が多いのだが、珍しくカウンター席ならではの時間の過ごし方を体験できたような気がする。

 

しかも偶然居合わせただけなのになぜかご馳走になってしまったし...

お二方、その節は本当にありがとうございましたm(__)m

 

 

そんな風に過ごしているうちにいつの間にか2時間くらい経ってしまっており、

閉店時間も近づいていたので、最後は締めのカレーうどんでフィニッシュ。

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退店時にはお土産としてバブを頂き、ほろ酔いのままホテルへの帰路についた。

 

そして部屋に帰ってからは案の定速攻で寝落ち(笑)

心地よい疲れのおかげだろうか、この日は特にぐっすりと眠ることが出来た。

 

 

 

***

 

 

 

翌朝は早めにホテルをチェックアウトして仙台駅へ。

今日はここから旅の最終目的地である岩手の秘湯・夏油温泉を目指すことになる。

 

夏油温泉は岩手・北上市の山深くに佇む閑静な温泉地で、その開湯は鎌倉時代にまでさかのぼるといわれている。

 

冬は雪に閉ざされることから春~秋までの季節営業となっているのが特徴で、

今回の訪問時も営業終了日までわずか2週間ばかりを残すといった状況だった。

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朝の仙台駅

 

仙台から新幹線で揺られること1時間弱、北上駅前にてまずは宿の送迎車と合流。

 

夏油温泉まではここからさらにもう1時間ほど渓谷沿いの山道を進んでいく必要がある。

 

なお現在定期運航している路線バス等は存在していない為、アクセスはおのずと宿の送迎かタクシー・レンタカーの利用に限られてしまう。ただ宿の送迎を希望する場合は、前もってその可否や時間帯等についてしっかりと確認しておいた方が良いだろう。

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道中の景色。紅葉が平地より早い。

 

幾多もの曲がりくねった険しい山道を超え、ついに目的地の夏油温泉観光ホテルに到着した。

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ホテル自体はこじんまりとしていて、どちらかといえば古い旅館のような雰囲気がある。

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昭和感溢れるロビー周りの様子

 

このごちゃごちゃした感じがまた良いw

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レトロな館内をルンバが走り回っているシュールな光景(笑)

 

フロントと玄関周り。

紅葉が見頃ということもあり、日帰り客も結構多く来ていた。

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本館から廊下を渡り自炊部へ移動。客室はこちらの棟の2階だった。

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今回は自炊部利用の湯治プランのため、部屋や備品はいたってシンプル。

山奥にある温泉地なので夜は冷えるようで、10月下旬の訪問であるにも関わらず

部屋には既にこたつが用意されている。

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部屋から見える紅葉が美しい

 

朝から移動で慌ただしかったので、ひとまず景色を楽しみながら一杯やって休憩を取ることにした。

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昼から飲む酒は最高なり...!

 

ところで話は変わるが、秋の東北ではどこへ行ってもカメムシをよく見かける。

特に山に近い湯治宿では最初から駆除用のガムテープが部屋に置いてあることも多く、こちらの部屋でも結構な数を捕獲することとなった。

 

自分は承知の上で来たので良かったが、苦手な人には結構厳しいかもしれない(自分も別に好きではないけど...)。

 

 

目につく範囲のカメムシをひとまず除去したので、お次は館内探索をしつつ露天風呂のほうへ向かってみる。

 

 

自炊部1階へ続く階段。手書きの案内がいい味を出している。

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岩手にちなみ宮沢賢治の暖簾が掛けられていた 

こちらは自炊部1階にある共用の洗面所。流しが広くて使いやすかった。

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同じく共用の炊事場。

今回は使用しなかったが、夏油温泉の近くには飲食店が無いので素泊まりで長期滞在の場合は重宝するだろう。

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本館ロビーに続く廊下の途中に外へ続く階段があり、それを下っていくと...

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たどり着くのがこちらのブナ林露天風呂

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その名の通りブナの原生林が浴槽を取り囲むように広がっており、お湯に漬かりながら自然の情緒を楽しめるのが魅力だ。

 

今回は紅葉が予想以上に進んでおり、いかにも東北らしい秋景色を独泉で堪能することができたのは嬉しかった。

 

泉質としてはカルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉で、やや熱めのシャキッとしたいいお湯だった。

あまりに気に入ったので滞在中に時間を変えて3回も来てしまった程である。

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またその後は時間もあったので、観光ホテルのすぐ近くにある夏油温泉 元湯夏油の日帰り入浴に行ってみることにした。

 

こちらは日本秘湯を守る会にも加盟しているランドマーク的な宿で、夏油温泉といえばここをイメージする方が多いと思う。

 

なお、元湯夏油は観光ホテルからは橋を渡って左折したすぐの場所にある。

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油川を彩る美しい紅葉 

 

来てみて驚いたのが、周囲の雰囲気とは似つかわしくないほどの賑わいぶり。

駐車場には旅行会社のツアーバスが何台か停まっているのも見える。

 

予想外の混雑ぶりにやや尻込みしたものの、とりあえず受付に向かうことにする。

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 こちらも紅葉が素晴らしかった

入口からは分かりにくいのだが元湯の敷地はかなり広く、その広大な土地の中に露天風呂をメインとした7つの温泉が点在している。

 

それらの順路沿いには昔ながらの自炊部をはじめとした木造の建物が連なっており、歩くだけでも伝統的な湯治場の雰囲気を感じられて楽しかった。

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最初は川沿いの露天風呂へ向かったのだが、こちらが運悪く団体と重なってしまったようで、どの湯舟もすでに芋洗い状態...

 

隣で待つのもなんだか落ち着かないので、一旦戻って内湯のほうへ行ってみることにする。

 

幸い内湯のほうは空いており、ほとんどの時間を独泉で入ることができたので良かった。お湯は熱めだが入れないほどではなく、観光ホテルと似たキリっとした浴感でとても気持ちが良かった。

 

ただその後も続々と団体客が到着し、正直ゆっくり入れる雰囲気ではなかったので、勿体無いとは思いつつも今回は露天は見送り宿へ帰ることにした。

 

 

部屋に戻ってゆっくりした後は、朝に北上駅で買った弁当と酒で早めの夕食。

日本酒はいくつか買ってきていたのだが、自分は浜千鳥が一番好きな味だった。

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地ビールのドラゴンアイスカイ。はじめて見かけた銘柄だったが美味しかった。

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数時間仮眠を取ったあと、今度は宿の内湯である古代ひのき風呂へ。

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こちらの内湯は時間帯による男女入替制で、ロビーのある本館から渡り廊下を進んですぐのところに位置している。

 

今回はうっかりしていて片方しか行けなかったのだが、ヒノキ造りの落ち着いた雰囲気の浴室はなんとも風情のある佇まいで素晴らしかった。

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湯口に付着した真っ白な析出物

一人用の金運の湯。こちらも蛇口には析出物がびっしり。

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メインの湯舟である白猿の湯。

ブナ林露天風呂と同じ源泉を使用しているが、こちらの方がお湯は熱め。

壁の案内板には江戸時代からの夏油温泉の歴史が書いてあった。

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しばらく独泉を楽しんでから、昭和感溢れる湯上り所をあとにして客室へ戻る。

入浴後はよく体が温まった感じがして、あまり湯冷めはしなかった。

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なおこちらが翌日朝に再び内湯に入った時の様子。

大きな窓から光が差して、夜とはまた違った明るい雰囲気だった。

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チェックアウト後は再度宿の送迎車を利用して北上駅へ戻った。

 

 

新幹線へ揺られて帰路につく中で改めて今回の旅を振り返ったのだが、

2泊3日にしてはなかなか中身の濃い、良い旅ができたように思う。

 

特に印象に残っているのはなんとっても化女沼レジャーランド。

今回のようなツアー参加型での観光は初めてだったが、まさに度肝を抜かれたという言葉がふさわしいほど個人的にはインパクトの強い体験だった。

 

今後もああいった特色あるツアーがあればぜひ参加したいものだが、

そういった類のものは得てして期間限定だったり募集人数が限られていたり

するので、チェックは怠らないようにしていきたい。

 

ひとまずこの記事をもって、今回の秋の東北旅行記を締めようと思います。

 

それでは。