玄の散歩帖

温泉、レトロ、写真など好きなものごった煮ブログ

深き杜に鎮座する熊野信仰の総本山・熊野本宮大社への参拝                       ~深緑の伊勢・熊野三山と温泉巡りの旅④~

 

前回に引き続き、伊勢・南紀旅行の記事になります。

ranporetro.hatenablog.com

 

 

朝のバスで湯の峰温泉を発ってからは、そこから比較的近場である熊野本宮大社の参拝へ。

 

この辺りは交通機関でのアクセスがあまり良くないイメージだったのだが、調べてみると一時間に一本程度は湯の峰温泉を経由する新宮⇔熊野本宮大社間のバス路線があり、移動は思いのほかスムーズであった。

 

湯の峰温泉から「本宮大社前」のバス停まではものの10分ほどで到着。

バス停の前には熊野本宮館というモダンな雰囲気のビジターセンターが立っている。

 

こちらには観光協会が併設されており綺麗なトイレもあるので、情報収集やバス待ち時の滞在場所としても活用できそうだった。

 

そこから通りを挟んで向かいに渡った辺りが、熊野本宮大社の参道の入口である。

こんもりと茂った杉木立の間から覗くのは、境内へと続く158段もの石段。

参道脇には”熊野大権現”の奉納幟が壁のようにズラッと立ち並んでいた。

雨降りの朝ということもありまだ参拝客は少な目である。一休みしながら進む。

石段の中腹右手にある手水舎。

参拝者を迎えるのは、シンボルである八咫烏(やたがらす)のブロンズ像。

八咫烏熊野本宮大社主祭神である素戔鳴尊(スサノオノミコト)の使いであり、かつて神武天皇の道案内をした導きの神として熊野地方で信仰されている。生えている三本の足はそれぞれ天・地・人の三つを表しているそうだ。

階段を上り切って少し進んでいくと、正面に本殿の入口となる神門が構えている。

神門より先の境内では写真撮影は推奨されていなかったので、代わりにネットから拾った画像を貼っておく。境内には四つの社殿があり、それぞれに異なる神々が祀られている。

熊野本宮観光協会HPより引用

社殿の屋根はヒノキの皮を合わせた檜皮葺(ひわだぶき)という造りになっていて、その風格あるこげ茶色の佇まいからは悠久の時を超えた歴史が感じられた。

 

境内を取り囲む杉の森の風景も美しく、そこにいるだけで気持ちが落ち着くような、まさにパワースポットと呼ぶべき場所だと思った。

 

 

お参りを済ませてからは少し早めのお昼ご飯へ。

石段を下りてすぐ、向かいにある喫茶店のような外観のお食事処 きっちんへ。

人気メニューである唐揚げ定食を注文したところ、画像の通り器からはみ出んばかりのボリューム感の唐揚げが登場。他のおかずがなんだが小さく見えてしまうが、唐揚げが大きすぎるだけで他は至って普通サイズなのでご安心を(笑)

 

まあ熊野本宮大社は境内が広く参拝には体力を使うので、お参り後のランチとしてはこれ位ボリュームのあるメニューで丁度いいのかもしれない。量は言わずもがな味も美味しかったし、落ち着いた雰囲気のお店だったので総じて満足度は高かった。

 

www.kumano-area.jp

 

 

その後は熊野本宮館まで戻り、そのまま歩いて建物の裏手にある土手沿いへ。

堤防の上を進んでいくと、田んぼの向かいに途方もない大きさの鳥居が見えてくる。

実はこの大鳥居が立っている森こそが、かつて本宮大社があった旧社地大斎原(おおゆのはら)である。

明治22年、かつてこの地にあった熊野本宮大社はその年の大水によって損壊し、その社殿の大部分は失われてしまった。被害を免れた本殿の建物はその後高台へと移設されたのだが、その場所が現在の熊野本宮大社の境内というわけである。

 

現在大斎原には流出した社を奉る祠が残されているのみだが、神が最初に降り立った場所として、本宮大社と同様に多くの人々が訪ねる地となっている。

 

そして熊野本宮館裏側の土手はちょうどその大斎原を見渡せる場所にあるので、堤防の上からはその圧倒的なスケールの大鳥居を綺麗に遠望することができるのだ。

この鳥居は現在でも日本一の大きさを誇っており、高さは30m、幅は40mにも達する。

右側に写っている人の大きさと比べると、その規格外のサイズ感がお分かり頂けると思う。

本来であればこちらにもお参りをしておきたかったのだが、今回は時間の関係からやむなく見送りに。少し残念ではあるが、この象徴的な鳥居の景色を見られただけでも良しとしよう。

 

 

その後はバスで新宮まで戻り、そこから旅の最終目的地である勝浦を目指して電車でさらに南下した。特急で新宮→紀伊勝浦間は1駅なので、20分も掛からずに到着。

(なお写真の車両キハ85系は23年6月末で引退となり、現在は新型のHC85系がその後を継いで運行中である)

 

紀伊勝浦駅は想像よりも大分こじんまりとしていて、駅前の小さなロータリーの先には、昔ながらのひなびた雰囲気のアーケードが続いているのが見えた。

これらの散策もなかなか楽しそうだが、やはりまずはホテルに荷物を置いて落ち着きたいところ。

 

駅から10分ほど歩いて、港の真ん前に建つビジネスホテル  ブルーハーバーへ。

館内や部屋の写真は撮り忘れたが、まあ一般的な昭和ビジホのそれと思ってもらえれば良いと思う。

身軽になり早速散策に出る準備を始めたが、ふと窓の外を見ると鉛色の空からポツリポツリと雨が落ち始めてきていた。

 

明日以降もまだまだ時間はあるし、雨降りの中わざわざ歩き回る必要もないかもしれない。

そう思ったのでこの日は部屋で何をするでもなく、ダラダラと夜まで時間を過ごしてしまった。

 

 

***

 

 

雨も上がって辺りもすっかり暗くなった頃、夕食を取るため宿を出た。

今回伺ったのは地元でも大人気の居酒屋・ひろ吉さんである。

まるで割烹のような雰囲気をした門構え

予約している旨を告げて、案内された小上がりのテーブル席へ。

入店後すぐからカウンターも含めてどんどん埋まっていったので、予約は必須だと思う。

突き出しは郷土料理である胡麻豆腐。ねっとりとした食感と独特の甘みが特徴的で、わさび醤油が良く合った。

本日のお刺身盛合わせ。

勝浦名物のマグロ、タコやエビに加えて、なんとオコゼまでついていた。

オコゼの刺身はこの時初めて食べたのだが、コリコリとした食感が小気味良く、癖が無く美味しく頂くことができた。

お洒落な盛り付けの熊野牛の炙り。お肉はとても柔らかく、まぶしてあるポン酢とのマリアージュが抜群だった。

二杯目からは日本酒で。せっかくなので和歌山の地酒・黒牛を注文。

飲みごたえあるどっしり系で、自分好みの味。

天ぷら盛り合わせ。

〆は揚げだし胡麻豆腐で。冷や奴よりもこっちの方が好みかな。

 

 

ひろ吉さんは何を頼んでも外れなく美味しいし、海鮮系以外の逸品も充実しているので本当にお勧めである。

tabelog.com

 

勝浦駅から歩いて行ける距離なので、周辺への滞在時には予約の上ぜひ訪ねてみてほしい。

ひとりであってもグループであっても、勝浦での楽しい夕餉となること請け合いである。

 

 

それでは。